丁稚奉公 その2
staff tamadurです。
とあるミシン工場の丁稚奉公を2日間終えた翌日
別の所へ奉公へ行くことに。
着いたところはとてものどかな町。
こんなところに何の工場?工房?があるのかな?と思っていたら
日本で言う長屋みたいな一部屋?に「バブーシュ」をつくっている工房がありました。
昨日までいたミシン工場とは違い、
主のメーハさんとアルビさんの二人でまかなっている小さな工房でした。
ひとまずは二人のしている作業を見学。
いままで店で販売していたバブーシュがこんな風に作られてるんだーと
ひとつひとつの行程を見ることができました。
作業工程は、底の部分と、甲の部分の大きく分けて二つのパーツから作ります。
主に甲の部分は主のメーハさんが、底の部分はアルビさんが担当
甲の部分
色付けされた革をひろげ、型紙を置きそれどおりに、裁断していきます。
カッターナイフ一本で一枚のパーツをすいすいと切り分けていきます。
しかしこの作業聞いてるとただ型紙あてて切ってるだけと思いますが、
一番表になるところなので皮の表面がきれいなところを見ながら型紙を置いていきます
また無駄な切れ端が出ないように隙間なく次の型紙を置き裁断。
しかもその手さばき、速さが気持ちいいくらいすぅーーー、すぅーーーと
次から次に切られていくんです。まさに職人のなせる技!
足サイズによる甲の大きさも違うので型紙もわずかに大きさが違います。
表部分と少し小さめの裏部分二枚のパーツを作り、縫い合わせ
甲の部分はこれでいったん終了
底の部分
底部分は色付けされてないヌメのものを使います。
各足型のサイズの型紙より少し大きめにくり抜き、こちらも無駄のないよう
きれいな部分を選んでいきます。さらに大きめに裁断したヌメを底を強化するための台紙にはりつけ。
それから足型サイズの金属製の型で本番のくり抜き裁断。
私も少しお手伝い
かかとになる部分に、工房のしるしの刻印も押します。
ひとつづつプレス機で抑えて型抜きします。何度かプレス機を触らせてもらいましたが、
ボタンひとつで大きな金属の板が下がり一気に下まで行ってしまうと形が崩れたりするので
ただボタンを押すだけでなく微調整が必要です。これも長年の勘なんでしょうね。
サイズごとにくり抜いた底部分を次は、脚の立体型になったモデルに裏付けします。
釘を打ち込み底部分を固定。
それができると、甲の部分と合体!
底部分の外側回りになるところに、接着剤を塗ります。最終にはプレス機にかけますが、
この時の作業は、履いてから底部が剥がれないようにするため、丁寧に塗っていきます。
少し接着剤が乾いたら、甲の部分を取り付け。
位置がずれないように甲の部分をあてがい、まずは、つま先、サイドなどのバランスを見て
調整しながら、貼り合わせます。こちらからはメーハさんの仕事。
ペンチの様な工具を使って、甲部パーツをずれないように持ちながら革をはさんで伸ばしながら、
底部分パーツへ押さえ着けていきます。外れないよう工具でたたきながら固定。
少しづつ足型を回しながら甲部パーツを取り付けていきます。
立体で直線でもないため、革がよれたり、重なったりするんですが、それもまた、熟練の技でしょうか
、きれいに収まっていきます。一度甲部パーツをぐるりと底部パーツに押し付けた後、
もう一度接着を強めるために、また、横から見たときにシワがよってないかどうかも確認しながら
全体を叩いて固定します。
ここまでで、底、甲のパーツが合体し、スリッパの形になりました。
後は最終段階、立体の足型から、固定してた釘を抜き底のゴムを取り付け。
底ゴムも、最初の底型を抜くのと同じように接着剤を塗り大きめにゴムを貼り付け
一度プレスします。周りの要らない部分は、カッターナイフで切り取っていきます。
これで完成!ひとつのバブーシュを作るまでここまでの作業が必要なのです。
しかも、大量にいっきに裁断、プレス、取り付けなどではなく、1点づつの手作業!
ほんとうに時間がかかる作業工程です。
本来なら、ある程度決まった数の注文がでないと購入することはできないのですが、
こちらに来て見学させてもらった思い出として特別に一足だけ買わせていただきました。
こんな形で手作業のものを見ていると、作った方々の苦労、時間、手間、気持ちなど
いろんなものが渦巻いて自分で買ったものは丁寧にできるだけ長く使おう。
という気持ちになります。
そんな、丁稚奉公の体験記でした。
私が見学して購入した、とてもキラキラハムサのバブーシュ近々ネットショップなどに
登場予定です!!